皆さんは、メモを毎日とりますか?
会社の会議・取引先とのアポ・授業の板書。さまざまな場面でメモをとりことはあると思います。
しかし、友人との会話・町中の風景・変わった広告。このような日常の中でもメモをとっている人はどのくらいいるでしょうか。
メモの魔力の著者 SHOWROOM株式会社社長の前田祐二さんは、本書の中で『「記録」ではなく「知的生産」のためにメモをとる』と述べています。
知的生産のためのメモってどういうことなのか。この記事でご紹介します。
素晴らしきメモの記事へ、ようこそ。
人生のコンパスを持とう
「人生のコンパスを持て」これは前田祐二さんの言葉です。
人生のコンパスを持つということは、人生の方向性がぶれないようにするために必要不可欠なものです。
人生は旅のようなもの。方向を示してくれるコンパスがなければ、迷子になってしまいます。
自分が向かうべき方向を常に示してくれるもの。それが人生のコンパスです。
人生の軸とは、まさにこれのこと。ぶれない軸を持つことが、現代の旅には必要になってきます。
人生=旅
人生を旅としたときコンパス以外になにが必要になるのか。
地図・現在地・目的地
この3つの神器を手にするために、やるべきことがメモをとることなのです。
知的生産のためのメモ。人生の軸を見つけるためのメモ。
メモの方法 事実→抽象→転用
メモを取るときの手順は次の3つです。
事実→抽象→転用
事実
身の周りで気になったこと、自分の感性のアンテナに引っかかったもの。なんでもありです。
とにかく全てメモしましょう。
抽象
事実を事実のままにしておくだけでなく、抽象化します。
抽象化とは、もっと幅広い事柄に使えるように、事実を言い換えること。
アイデアに変えること。
転用
抽象化したことを受けての自分の行動を書き出します。
アイデアを形にするアクションを考えるんです。
事実
大阪ではチラシと一緒に飴ちゃんを配ったら、東京の3倍の効果があった。
抽象化
大阪は東京より、直接的に目に見えるメリットに心揺さぶられる。
転用
この事実をSHOWROOMにもいかせないか。地域別に調査をしてみる。
引用:メモの魔力 p51
事実
大阪では吉本とかの、お笑いが盛り上がっている。
面白い、価値のあると目に見えるものに対してはお金を出す。
抽象化
大阪人にとっては、価値を感じるもの・感じないものの基準が明確。
転用
SHOWROOMの事業にも、目に見えて価値がわかるような仕組みを作る。
引用:メモの魔力 p52
メモをとるうえで重要なのが、備忘録のように記録して終わりにしないこと。
事実を抽象化し、具体的な行動を考えるところまでやりきることが最も重要。
日常で目にする情報をアイデアに変えるメモ。これが、知的生産のためのメモなのです。
抽象化は難しくない
ただの備忘録でなく、知的生産のためのメモにするためにはまず、事実を抽象化する必要があります。
抽象化と聞いてもピンとこない方の方が多かったのではないでしょうか。
本書の中に、抽象化のわかりやすい例がありましたので、ご紹介します。
「抽象化」と言うと小難しく聞こえますが、実は、これは、小さい頃から、何の気なしに誰もがやっていることです。
時々外にいると、空からポツポツと水が落ちてくる。一つ一つの水の粒は大きさが異なるし、成分も微妙に異なるかも知れない。ただし、それをいちいち名付けていたら埒があかないので、ひとまとめにして、「雨」と呼ぶことにする。これも抽象化の一種です。
引用:メモの魔力 p72-73
私たちは、日常の中でも無意識のうちに抽象化をしています。その例が「雨」です。
そもそも抽象化は、会話をするときにも必要不可欠なツールですし、1日に数回は行なっていることです。
意識的に抽象化をしようとすると、どうすればいいかわからなくなってしまうと思います。
ですが、徐々に慣れていくと驚くほどスムーズに抽象化が進みますよ。
抽象化の方法
抽象化には3つの分類があります。「What」「How」「Why」この3つです。
最も重要なのが、抽象化するときの「問い」です。「What」を投げかけるのか、「How」を投げかけるのか、「Why」を投げかけるのか。抽象化のコツをつかむ上で、重要です。
目の前の現象に名前を付ける(What)目の前の現象にはどのような特徴があるのか(How)なぜこの映画はヒットしたのか(Why)
一つ一つの現象に、これらの「問い」をし続けることが、抽象化を加速させる方法です。
①What型
例【空から降る水の粒】→「雨」
【光を発し熱を帯びた穂のような何か】→「炎」
②How型
例:ポケモン
・特徴(事実)…ポケモンというゲームにおいては、それぞれのモンスターの属性があり、属性に応じた攻撃で、効果が増加する。
・抽象化…相手に応じて攻撃方法を変える。
・転用…就職試験の面接でも、面接官の特徴に応じて、話すエピソードを変えるべき。
③Why型
具体例:『カメラを止めるな!』の大ヒット
・事実…出演は無名俳優のみ、かつ300万円という低予算で作られたにも関わらず、興行収入が大作に並んだ。
・抽象化…ヒットには落差が必要(AなのにB)
ヒットには共感も重要
・転用…SHOWROOMのキャンペーンにも、落差と共感を入れ込む。
引用:本書 p78-81
わかりやすく「言語化」しよう
なにか目標を達成する上で、周りの人に影響を与えたり、巻き込むことは重要です。
周りの人を自分の目標に巻き込む方法、それが「言語化」です。
事実を抽象化し転用まで考えたとしても、それをうまく言語化しなければ仲間を増やせません。
この言語化の第一歩目は自分の心に「なぜ」を向けることだと、前田祐二さんは仰っています。
抽象化したことを、結局これは何?一言で言うとどうゆうこと?を問かけることが大切になってきます。
「レトリック」って聞いたことありますか?簡単にいうと、伝わりやすい言葉を生み出す能力や技術のことです。
DeNA創業者の南場智子さんは、「良質な非常識」といった、ぱっと聞いて意味が分かるし平易だけど、なんだかハッとさせられるような言葉を使います。このように、本質を突いていて、聞いたときに印象に強く残るような言葉を生み出すことのできる経営者の周りに、人や共感が集まっているように思います。
引用:メモの魔力 p101
レトリックを意識して、言語化できると、より深いメモになっていきます。
言語化がうまい人の特徴 2つ
言語化が上手な人の特徴 刺さる言葉 アナロジー Ex
言語化がうまい人の例としては、南場智子さん・秋元康さん・鈴木あさむさん がいます。最高の「ハマりワード」を生み出しています。
特に、秋元康さんはレトリックの天才です。例えば「永遠は短い」という言葉を、歌詞に使っています。「永遠」と「短い」という言葉は、そもそも矛盾しています。しかし、聞いてことのない言葉の組み合わせによって、「おや?」と、人により深い印象と感動をあたえることができます。
そんな言語化がうまい人には、大きく分けて2つの特徴がある。
①抽象化能力が高い
②抽象的な概念に名前を付ける能力が高い
これらについては、また別の記事でご紹介しようと思います。
自己分析に抽象化は必須
皆さんも、自己分析をやったことがあるかと思います。多くの方は就職活動の際にやったのではないでしょうか。
半ば嫌々取り組む方が多い「自己分析」には、抽象化の技術が必要不可欠なんです。
「あなたの弱点は?長所は?」などといった自己分析の質問に単に答えるのは、誰にできることです。自分が考えた具体的な弱点をさらに「抽象化」して、そこで得た気づきを別のことに「転用」することで、計り知れないほど大きな価値が生まれます。
「自分の長所」への答えが、「辛抱強い」だったとします。ここで、もう一歩踏み込んで、具体化します。そして、それらに対して「なぜ?」を向けて、深掘りし、抽象化してみるのです。
自分はなぜ辛抱強いのだろう。なにが自分を辛抱強くしているのか。こういったことを考えます。
辛抱強い自分というものを俯瞰してみて、より汎用的な形に、抽象化しておくことが重要です。
引用:メモの魔力 p129
自己分析を行なう上で大切なことは、人生の軸を見つけるまで「やりきる」ことです。
自分を構成しているもの全てに「なぜ?」を向け続けることです。向け続け、抽象化しまくって、自分のコア・人生の軸を見つけることができれば、自分にまつわるあらゆる意思決定の場面において、ほとんど迷わなくなります。
メモで創造力を広げよう
メモの魔力の中でも、『メモで「創造の機会損失」を減らす」というトピックが取り上げられていました。
前田祐二さんは、「忘れてしまうような事は重要でないから、覚えておく必要はない」「記憶のスクリーニングにかけた方がいい」という考え方に懐疑的です。
なぜなら、新たな創造につながるような情報は、日常の中に散らばっていて、「未来において、どの情報が重要になってくるか」なんて未来になってみないとわからないからなんです。
一見しただけでは関係性が見えてこないものでも、「永遠は短い」のように結びついてきたりします。
さらに、日常のなんて事ないようなことを覚えておくのは、脳が疲れてしまいます。覚えておくことにエネルギーを使ってしまって、創造的なクリエイティブな思考をできなくなてしまいます。
完全に脳に頼ってしまっている人に比べて、メモをよくとる人は脳に考えるだけのスペースが残っているので、より効率的に抽象化、はたまた創造的になれるのです。
メモは習慣にしないと意味がない
メモって凄いなぁ。で終わってしまっては、なにも人生は変わりません。
まずはなんでもいいからメモを取り始め、事実→抽象→転用のステップを踏んでいきましょう。
そして、メモを取ることが習慣になるまで続けてください。
本書の中でも、「いち早く、メモを取る努力から習慣にして欲しい」と書かれていました。
メモを取らないと落ち着かない。物事を抽象化して転用まで考えないと気持ち悪いくらいになったら、強いです。
人生の勝算を見つけ出そう
人生という旅をする上で大切なツールを手にする為に必要な行動、それがメモをとること。
記録・備忘録のようなメモではなく、知的生産のためのメモ。これが人生のコンパスを生み出します。
そして人生の目的地、それもメモによって明らかになってくると思います。自己分析するためには抽象化が必須です。私たちの人生を全て抽象化できた時、確信を持って人生を渡り切ることができるのではないでしょうか。
それこそが、前田祐二さんがいう「人生の勝算」なのです。
特別付録 「自己分析の1000問」を公開中!
メモの魔力の巻末には、自己分析の1000問と称して、1000問の問いが収録されています。
その中でも、最も重要な最初の100問が無料公開されています!
https://www.dropbox.com/s/0g9bmxagxoclrsx/212-231.pdf?dl=0
人生の軸を完璧に見つけるには、1000問の問いに答えきるのがベストです。
できる限り多くの視点から自分を考える切ることが、大切です。
とはいえ、最初の100問をやるだけでも大きな成果は得られてしまいます。
まずは、この100問をやってみて、更にやりたい場合は書籍でやってみてはいかがでしょうか。
メモの世界へ、ようこそ。